これまでの経験から言えば、問題を抱えたお庭は現実に多く存在します。
たとえば、建売住宅のお庭は、ほとんどが問題だらけです。建売住宅の場合、家とお庭がセットで「売り渡した瞬間が一番良い状態になるように」という考え方でつくられています。
5年後や10年後のことはまず考えられていません。
建売住宅のお庭を、専門の庭師がつくることはまずありません。
ですから、木の植え方も配置も、ほとんど将来のことは考えられていないのです。
「1階のベランダ近くに植えられた木から毛虫が落ちてきて困る」
建売住宅のオーナーから、こんな相談をうけたことがあります。この問題は、毛虫のつきやすい木をベランダの近くに植えていたことが原因でした。
お庭のプロなら、ベランダに枝が延びてしまうような位置に木を植えることはありません。まして、毛虫のつきやすい木を選ぶなど考えられないことです。また、四季の変化のことを考慮せずに木が植えられていることもあります。
その結果、春先だけ花が咲いて、そのあとの季節は何も花が咲かない状態が続く、季節のバランスを欠いたお庭となってしまっているのです。
私は、建売住宅の場合、新築のうちに一度お庭の専門家に見てもらうのが良いと思います。お庭の草木のバランスはよいか、木などの植物の性質をきちんと把握して植えられているか、植えられている位置は適正か、といったことについてチェックするのです。
もちろん、専門家を呼ぶにはコストがかかります。が、時間がたち、木が大きく育ってしまってからでは手遅れになることが多いのです。
木の植え替えは、初期のうちならコストはぐっとおさえられるのですが、育ってしまってからでは大きな出費になってしまいます。
建物の近くに植えた木が大きく育ってしまうと、移植するのも大変な作業が必要になります。根の張り方によっては、移植自体できなくなって処分しなければならないこともあります。
しかも、大きくなった木の処分費は結構かかってしまいます。
建売住宅ではなくても、自己流でつくりはじめてしまったお庭は、やはり一度専門家に見てもらうことをお勧めします。何事も早め、早めの対応が望ましいのです。